プロジェクトについて

美術と手話プロジェクト
について

「美術」「美術館」「手話」「聞こえない人・聞こえにくい人」を
キーワードに、さまざまな人たちがゆるやかにつながり
だれもが楽しく豊かに鑑賞できる環境づくりを目指しています。

美術鑑賞において聞こえない人・聞こえにくい人は、「特に問題はない」と思われがちですが、実はさまざまな不便を感じています。

例えば、

  • ・美術館では、あらゆる場面で音声でのやりとりになり、困ることが多い。
  • ・音声ガイドやギャラリートーク、音の出る作品が楽しめない。
  • ・美術用語の手話が少ない、指文字では意味がわからない。

などがあげられます。

しかし、聞こえない人・聞こえにくい人の美術鑑賞に関する課題は、手話通訳をつけるだけでは解決しません。

そこで、美術館をはじめミュージアム全般における聞こえない人・聞こえにくい人への理解や配慮について考える場をつくり、そこから、聞こえない当事者である西岡克浩をはじめ手話通訳士などの有志と、アートをすべての人に開く活動をしているNPO法人エイブル・アート・ジャパンが、協働で「美術と手話プロジェクト」を発足。聞こえない人・聞こえにくい人の美術鑑賞に関するさまざまな課題に取り組む活動をはじめました。

これまでの活動

まず、「美術と手話を考える会議」を開き、美術鑑賞に関心のある人たちと意見を出しあいました。そして、そこから見えてきた課題の解決に向けて①聞こえない人・聞こえにくい人の意見を反映した鑑賞プログラムの考案・開発、②美術用語の手話化を行いました(助成:ファイザープログラム/ファイザー株式会社)。

以後、各地の美術館や団体と鑑賞ツアーなどの企画・実践を重ねながら、活動の普及に取り組んでいます。

これまでの主な活動の様子は、ニュース一覧のアーカイブ(レポート)をご覧ください。

※各文末の詳細をクリックすると詳しい内容がご覧になれます。

■美術館・博物館・文化施設・文化イベントなどでの企画

  • ●東京国立博物館 「美術と手話を考える会議」鑑賞会 企画 2011年詳細
  • ●横浜美術館「英国手話による芸術鑑賞~ろう者自身の経験から~/事業報告会」企画 2012年詳細
  • ●東京都現代美術館 「手話ナビゲーターとめぐるギャラリークルーズ」 企画協力 2014年詳細
  • ●川口市立アートギャラリー・アトレア 「フィールド・リフレクション」 鑑賞プログラム 企画協力 2014年
  • ●徳島県立近代美術館 ワークショップと講演「みんなが楽しめる美術館づくり」 企画協力 2014年詳細
  • ●東京都庭園美術館 手話とトーク「もしガレがガラス職人に手話で指示したとしたら」 企画協力 2016年詳細
  • ●宮城県美術館 「美術と手話プロジェクト@宮城」 企画 2017年詳細
  • ●日本財団Diversity in the Arts「Museum of Together」展 アクセス・アート・プログラム 企画協力 2017年詳細
  • ●茅ヶ崎市美術館 「美術館まで(から)つづく道」インクルーシブデザインの手法を活用したフィールドワーク 企画協力 2018年詳細
  • ●茅ヶ崎市美術館 「美術館まで(から)つづく道」手話で楽しむ鑑賞ツアー 企画協力 2019年詳細
  • ●京都国立近代美術館 「ドレス・コード?-着る人たちのゲーム」ワークショップ 企画協力(主催:京都服飾文化研究財団) 2019年詳細
  • ●東京都現代美術館 MOTサテライト2019「ひろがる地図」関連プログラム 企画協力 2019年詳細
  • ●水戸芸術館 現代美術ギャラリー「冬のこらぼ・らぼ」プログラム 企画協力 2020年詳細
  • ●金沢21世紀美術館 「来館しやすさと楽しさを考える10のレッスン」ワークショップ 企画協力 2021年詳細
  • ●「六本木アートナイト2022」インクルーシブ・アート・プログラム 企画協力 2022年詳細

■手話通訳

  • ●東京国立近代美術館工芸館「栗木達介展」手話通訳付きガイドツアー 2015年
  • ●東京都現代美術館 MOT美術館講座手話通訳付きプログラム 2016年~2019年詳細
  • ●すみだ北斎美術館 開館記念プロジェクト「みんな北斎」、「北斎漫才」入賞作品ガイドツアー手話通訳 2016年詳細
  • ●二子玉川公園 「日本庭園ちょこっとガイド」手話通訳 2018年、2019年詳細
  • ●東京都現代美術館 「手話による美術館の案内動画」手話監修 2020年詳細
  • ●三菱商事主催「特別鑑賞会」講演 手話通訳 2022年~詳細
  • ●六本木アートナイト2022 インクルーシブ・アート・プログラム 手話通訳 2022年詳細
  • ●六本木アートナイト2023 インクルーシブ・アート・プログラム 手話通訳 2023年

■講演・事例紹介など

  • ●女子美術大学 授業「ヒーリング表現領域+メディア表現領域」講師 2013年
  • ●徳島県立近代美術館 「アートでつながるユニバーサルミュージアム」講師 2015年詳細
  • ●武蔵野美術大学 授業「ミュゼオロジーと教育」講師 2016年~2021年詳細
  • ●かながわ国際交流財団 「社会教育・文化施設間連携事業第3回作業部会 美術館におけるインクルーシブデザイン先進事例」発表 2016年
  • ●ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020 鑑賞コンテンツに出演 2020年詳細
  • ●NHK「ろうを生きる、難聴を生きる」出演 2017年、2023年詳細
  • ●長野県信濃美術館 「アート・コミュニケータ基礎講座」講師 2021年詳細
  • ●東京都写真美術館 ボランティア研修会 講師 2021年詳細
  • ●聴覚障害者社会教養講座 「誰もが楽しく豊かに鑑賞できる環境づくり」講演 東京都教育庁主催 2022年詳細
  • ●武蔵野美術大学 展覧会「Glass×Geibun Project」 企画協力 2022年、2023年詳細

■その他

  • ●「美術と手話を考える会議」 2011年~2012年詳細
  • ●「美術と手話」聴覚障害者の美術鑑賞プロジェクト 2012年
    (2011年度「ファイザープログラム~心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究」助成)
    • 1)美術鑑賞プログラム開発事業鑑賞会実施
    • 世田谷美術館 詳細
      東京都現代美術館 詳細
      横浜美術館 詳細
    • 2)美術用語の手話化事業 詳細
  • ●「美術と手話プロジェクト」 2013年~詳細
  • ●トークサロン等の企画開催 2018年~詳細
  • ●ユニバーサルキャンプTOKYOにて美術と手話プロジェクト活動の展示 2018年、2019年詳細
  • ●フクフクプラスの対話型アート鑑賞会企画に協力 2019年詳細
  • ●美術館関係者のみなさんに向けた「手引き」作成(文化庁委託事業 令和元年度障害者による文化芸術活動推進事業(文化芸術による共生社会の推進を含む)「美術館における聴覚障害者の鑑賞環境整備事業」助成) 2020年詳細
  • ●「みんなでミュージアム」(文化庁委託事業「障害者等による文化芸術活動推進事業」)に協力 2021年~詳細
  • ●電通ダイバーシティラボのウェブマガジン「cococolor」に「美術と手話プロジェクト」記事掲載 2022年詳細

現在の活動

すべての人にとって、美術や美術館が
より身近で開かれたものとなるように
聞こえない人・聞こえにくい人とともに楽しむ
「新たな鑑賞」を探求しています。

聞こえない人・聞こえにくい人、手話通訳士、美術関係者、研究者など、
さまざまな人とともに、次の活動を行っています。

ともに考える
  • ●「美術と手話を考える会議」、課題抽出ワークショップなど
ともにつくる
  • ●美術館や美術鑑賞に関するニーズの調査・分析
  • ●美術館へのアクセスに関する調査・提案
  • ●美術用語の手話化(約80語を試作)
  • ●ミュージアムでの新たなコミュニケーション手段の開発・提案
  • ●聞こえない人自身による作品解説手法の開発など
ともに楽しむ
  • ●鑑賞プログラム(ギャラリートーク、鑑賞ツアーなど)の開発・提案・実践
ともに学ぶ
  • ●美術用語の手話の普及
  • ●美術鑑賞をサポートする手話通訳の養成など

また、活動の成果を活かし、個別のアドバイスや提案も行っています。

美術館へ

鑑賞プログラム(ワークショップや鑑賞ツアーなど)の企画・実施、手話通訳の養成など

鑑賞者へ

手話通訳や要約筆記の紹介など

事務局・メンバー

美術と手話プロジェクトはNPO法人エイブル・アート・ジャパンに事務局をおく市民有志によるプロジェクトです。

美術と手話プロジェクト 事務局

〒108-0074 東京都港区高輪2-15-24 三愛ビル竹館2階203号室
NPO法人エイブル・アート・ジャパン内

TEL:03-6277-2802
E-mail:info.art-sign@ableart.org

ホームページ:http://art-sign.ableart.org

メンバー

  • 西岡 克浩

    にしおか かつひろ

    美術と手話プロジェクト代表
    株式会社丹青社所属

    さまざまな人が集う文化施設などの空間づくりに携わりつつ、ユニバーサルミュージアム活動、ダイバーシティ関連研修の運営などを通じて、美術鑑賞を楽しむとともに「いろいろな人と、ともに体験し、ともに考えていく」ことを大切にしている。

  • 市川 節子

    いちかわ せつこ

    サインコミュニケーター
    手話通訳士

    聞こえる人が当たり前に楽しめていることを、聞こえない人にも同じように楽しんでもらいたいという想いを胸に活動している。気持ちに見合う技術と知識を目下研鑽中。

  • 太田 好泰

    おおた よしやす

    NPO法人
    新しい住まい方研究所
    代表理事

    エイブル・アート・ジャパン在職時よりさまざまなミュージアムアクセスプログラムの立ち上げ、運営に関わってきた。現在は住まいと食と居場所を軸に新しいコミュニティをつくるNPOを運営する傍ら、ライフワークとして「美術と手話プロジェクト」に参加している。

  • 小谷野 依久

    こやの いく

    東京都中途失聴・難聴者協会
    理事

    聴覚障害者。人工内耳と補聴器のバイモーダル。目と手と文字の人。誰もが自分の感性と言葉を大事にできるよう、すべての情報保障の悩みを解決したい。旅行会社勤務、東京都中途失聴・難聴者協会 理事、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 国際部で活動の場を広げている。

  • 柴崎 由美子

    しばさき ゆみこ

    NPO法人
    エイブル・アート・ジャパン
    代表理事

    障害のある人とともに、芸術文化活動を通じて社会に対して新しい価値を提案するプログラムを探求し実践していくことがライフワーク。東北への活動の普及にも力を入れている。現在、エイブルアート・カンパニー東京事務局、NPO法人エイブル・アート・ジャパン事務局長兼。

  • 高橋 梨佳

    たかはし りか

    NPO法人
    エイブル・アート・ジャパン
    スタッフ

    宮城県仙台市を拠点に障害のある人とつくる表現活動、生涯学習の場づくり、ミュージアムアクセス事業などに取り組む。前職で手話による絵本の読み聞かせやバリアフリー上映の活動を担当する中で聞こえない人と出会い、手話やろう文化に強く関心を持つ。

  • 田中 真理子

    たなか まりこ

    インクルーシブ・
    コーディネーター

    大学に勤めながら、仕事を通して手話に魅せられ、地域で手話通訳の活動にも携わっている。美術鑑賞において、違う感性を持つ一人ひとりが対話で繋がると、新たな感情や感動が連鎖していくことの面白さに興味を持ち、繋ぐ人を目指して鑑賞を楽しみながら日々勉強中。

  • 和田 みさ

    わだ みさ

    サインコミュニケーター
    手話通訳士 
    盲ろう者通訳・介助員

    聞こえない人ならではの感性で鑑賞できるプログラムづくりに強い関心をもつ。鑑賞会であがった聞こえない参加者からの声を美術館関係者に届け、より楽しめる美術鑑賞のあり方の拡充を目指している。