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9/23 東京都現代美術館 MOTサテライト2019 ひろがる地図 関連プログラム「手話で味わう美術鑑賞!知らない世界の歩き方」を行いました。

9/23(月・祝)の午後、東京都現代美術館 MOTサテライト2019 ひろがる地図 関連プログラム 「手話で味わう美術鑑賞!知らない世界の歩き方」のコーディネートを「美術と手話プロジェクト」が担当しました。


光島貴之 《ハンゾウモン線・清澄白河から美術館へ》(部分) 2019年 作家蔵

このプログラムは、「手話」を糸口に聞こえない人、聞こえる人が共に楽しみながら展覧会の作品を鑑賞し、互いに「手話」と「作品」の両方の魅力を再発見することを目的に実施しました。募集により集まった20⼈程の参加者を3つのグループに分けました。グループワークの内容は、

①研修室にて自己紹介・サインネームをつける
②展示室にて作品を3点鑑賞する
③研修室に戻り、手話タイトルを考える
④各グループが発表をし、皆でその手話を共有する

という流れです。
また、今回の企画ではみんなで作品をみて感じたさまざまなことを言ったり、手話、身振りで表してみたりしてみんなで話しながら楽しく鑑賞したいと考えました。そこで、展示室で作品を見る時、ひとりで自由に作品を見て感じたことを付箋に書き、作品の前で参加者みんなでそれを見比べながら掘り下げていくということをしました。

西岡チームの様子です。


ドン・チュンガライィ《ワラビー・ドリーミング》 1980年 国立民族学博物館蔵

「顔」、「鳥の足跡?」、「鳥が飛ぶところを下から見て脚を描いている」、「作戦図」、「交差点」など、感じ方は人それぞれ。参加者同士で幅広い会話が生まれます。
このやりとりに区切りがついたタイミングで、西岡は問いかけをします。

『この作品は「文字文化」を持たないオーストラリア先住民のアーティストが描いたものです。この作品が文字に変わるメッセージだとしたら、どんなメッセージを伝えていると思いますか?あなたはどんなメッセージを受け取りましたか?』

と。
「神様の通り道」、「オーストラリア先住民の最新ヘアスタイル?」、「何か大切なものを示す地図」、「一人一人の力が集まってみんなの力になっている」、「実はもっと大きな絵の一部で、矢印の先を描いたパーツが別のところにある」
といった興味深い意見がいろいろとでました。

研修室に戻り、この作品のサインネームを考えます。
鑑賞で各自付箋に書いたキーワードを見比べつつ、ポイントになるものをみんなでピックアップします。
そうして、「道」、「宗教」に加えて、「実はもっと大きな絵につながっているのではないか」ということを示すサインネームが生まれました。

9月23日の手話言語の国際デーにあたって、手話に親しむ機会となる鑑賞体験を、という美術館側のリクエストではじまったこのプログラム。
サインネームとは聞こえない人同士の会話から生まれるニックネームのことですが、聞こえる聞こえないに関係なくこのテーマに関心のある人たちが集まり、さまざまな対話を通して作品のサインネームを創る作業は、ダイバーシティな社会の中から生まれた独創的なものだと感じます。

プログラムの様子です。中島佑輔氏撮影














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